中学校の評定制度を徹底解説:東京都の最新データから見る現状と対策 中学校別評定割合 台東区
- 自分塾 室長 北岸
- 5月19日
- 読了時間: 8分
更新日:6月7日
はじめに
東京都から中学校別の評定割合データが発表されました。また、話題となった名古屋市の評定問題にも触れながら、相対評価と絶対評価の違いについても分かりやすく説明していきます。
目次
東京都中学校別評定割合データの分析
最新データから見える実態

東京都が公表した最新データによると、
東京都全体では、「5」が全体の12.4%、「4」が23.1%、「3」が47.1%、「2」が13.5%、そして「1」が3.9%となっています。
評定の平均をとると、
東京都の1科目あたりの平均評定は「3.26」9科目合計で「29.3」となります。
ちなみに他県と比較すると、
千葉県での平均評定が1科目あたり「3.59」9科目合計で「32.3」
岐阜県では1科目あたり「2.86」9科目合計で「25.8」
となり、所属する都道府県によっても大きく評定の割合は異なることがお分かりになるかと思います。


皆さんの成績のイメージと評定の割合が一致するかどうかは、出身地や育った年代によって大きく異なると思いますので、親御さんは子供さんが所属する都道府県や地区、学校の評定がどのような分布になっているのかを知っておいた方がよいでしょう。特に引っ越しなどで転校した場合に、同じイメージのままで考えているとショックを受けてしまうかと思います。
通っている中学校によって評定の割合に大きな差が生じていることが明らかになりました。例えば、ある地域では「5」の評定を取得する割合が20%程度の学校がある一方、隣接する学校区では10%未満という状況も見られます。
2.台東区中学校評定割合
同じ台東区にある7校の区立中学においても、学校によって大きな差があります。
以下の表は台東区の学校評定平均を計算したものになります。
もっとも評定平均が良い学校では評定平均「3.42」9科目合計平均「30.82」、
もっとも評定平均が悪い学校では評定平均「2.85」9科目合計平均「25.63」、
となり大きな差が出ています。
(東京都の平均「3.26」「29.3」と比較してもそれなりのばらつきがあります)


千葉県と違って東京都の場合は、学校名が隠された状態での公表結果となります。
割合の数値から人数が逆算できるため、知ろうと思えば特定できる状態ではありますが、
ブログなどでの公表は控えたいと思います。どの学校がどういう評定の付け方なのかを知りたい保護者の方は是非直接教室でお聞きください。
以上の様に
このデータからは、以下のような傾向が読み取れます:
学校によって評定の分布に大きな偏りがある
一部の地域では著しく厳しい評価基準を採用している学校がある
内申点重視校への進学を考える場合、中学校選びが非常に重要になる
3.相対評価と絶対評価の違い
40歳以上の保護者の方などは、ご自身が教育を受けた際の評価基準と大きく変化が起きています。2001年以降の相対評価から絶対評価への変更についても是非知ってほしいと思います。
かつては、正規分布に基づく相対評価を採用し、
評価の比率:5(7%)、4(24%)、3(38%)、2(24%)、1(7%)
のように、一定の割合を定めた上で成績を評価していました。
これは教師の主観を排除して、公平性を確保する目的で導入されていたものです。
しかし、機械的な割り振りにより、個人の努力が成績に反映されにくいことや、受験戦争を助長することなどが批判されはじめました。
1971年には「絶対評価を加味した相対評価」として、機械的な割り振りを避けるよう変更
1980年には「観点別学習状況の評価」を導入し、「関心・態度」が初めて評価項目に加わります。
平成3年(1991年)では「新しい学習観、学力観」が提示されました。
4観点「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」が導入され、
「関心・意欲・態度」が最初の観点として重視されるようになりました。
そして、平成13年(2001年)
「目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)」が導入されました。
これ以降、評価の比率割合を設けず、各生徒が基準を満たしているかどうかで評定をつけるようになりました。
平成22年(2010年)
「目標に準拠した評価」の継続と深化
観点を学力の3要素に合わせて整理:
「知識・理解」「技能」→基礎的・基本的な知識・技能
「思考・判断・表現」→思考力・判断力・表現力等
「関心・意欲・態度」→主体的に学習に取り組む態度
全体的な流れ
相対評価→絶対評価を加味した相対評価→目標に準拠した評価(絶対評価)への移行
知識中心から思考力・判断力・表現力、主体的な学習態度の重視への変化
観点別評価の導入と充実、評価と指導の一体化の強調
個人の成長を重視する個人内評価の活用
4.名古屋市の評定問題から学ぶこと
最近、名古屋市では評定の付け方が問題となりました。2001年に絶対評価へと変更してからすでに24年たった現在でも、一部の学校では厳格な相対評価を採用し、評定平均を2.9から3.2におさめるように指示をしていることが朝日新聞の報道で明らかになりました。評定「1」と「2」の合計が3割程度、「5」や「4」を出しすぎない様にし、評定平均が3.2を超える場合は教務に事前相談するような指示が出されていたようです。
この問題は、評価の公平性と教育の本来の目的について深い議論を投げかけています。絶対評価であれば、定められた水準に達した生徒はすべて高評価を得られますが、相対評価では周囲の生徒の成績によって自分の評価が変わってしまう可能性があります。
いずれにせよ、これらのデータやニュースから学べることは、「どの県か、どの市か、どの学校か、所属する自治体や学校の方針により評定の付き方には大きな差がうまれる」ということです。そして、その上で具体的な対策をとることが必要です。
つぎは評定を高めるための具体的な対策についてご紹介します。
5.評定を高めるための具体的な対策
日々の学習での心がけ
テスト対策に加えて提出物の質を高める
定期テストでの高得点はもちろん重要ですが、多くの学校では提出物の質や提出状況も評価の重要な要素です。ノートの取り方、課題の完成度、提出の時間厳守を徹底しましょう。
教科別の評価基準を把握する
各教科によって評価のポイントは異なります。例えば、英語では会話力や文法理解度、数学では解答プロセスの論理性など、教科の特性に応じた対策が必要です。
授業態度や発言にも注意を払う
多くの教師は日々の授業態度も評価に含めています。積極的な発言や質問は好印象を与え、評価アップにつながることがあります。
学校の評価傾向を知る
お子様の通う中学校がどのような評価基準を用いているのかを知ることも重要です。PTA会や三者面談などの機会に、学校の評価方針について質問してみることをお勧めします。
特に3年生の場合、学期の初めに各教科の評価基準が公表されることが一般的です。また、提出物についても明確な基準が設けられ、「期限内に提出し、解き直しや間違いの訂正、適切な注釈をつける」といった条件を満たせば「5」が付くケースが多いです。
先生の評価基準を知る
また、各教科の担当の先生に直接聞くことも重要です。中学三年生では教科の先生に直接聞くようにアドバイスをしています。「どうすれば3から4に上がりますか。あと何点とればいいですか。提出物をA+にするには何が足りませんか」など具体的に質問することによって基準が明確になり、その基準を満たせばしっかりと評定を取ることが出来ます。ノートやワークブックの提出がある場合は、期日を守るのは当然のことながら、プラスアルファの要素をどう評価してくれているのかしっかり確認しておきましょう。
6.高校入試に向けた内申点の重要性
多くの公立高校では、内申点が合否を大きく左右します。特に推薦入試においては、内申点の比重がさらに高まります。東京都の場合、推薦入試の場合、内申点と当日の試験の比率は概ね「5:5」一般入試の場合は「3:7」となりどちらにせよ大きな比重をしめています。
私立高校においても、単願や併願優遇などの制度を利用する場合は、内申点が合否の鍵を握ります。内申点の重要性を理解し、日頃から計画的に対策を行うことが大切です。
もし、どうしても内申点が悪い場合は、別の方法から推薦基準を満たすことを考えても良いでしょう。私立高校の入試では多くの場合、「学校相談」がありますので、評価の付け方が辛い学校であることなども考慮して、資格やその他の情報から「相談」することもできるでしょう。当塾でも様々な観点からアドバイスをしておりますので、気になる際は是非ご相談ください。
まとめ
東京都の中学校別評定割合データから見えるように、評定には学校間で大きな差があることが明らかになっています。これは単なる学校の厳しさの問題ではなく、教育制度の構造的な課題でもあります。
当塾では、生徒一人ひとりの通学している中学校の評価基準を把握した上で、最適な学習指導を行っています。定期テスト対策はもちろん、日々の学習習慣の形成や提出物の質の向上にも力を入れています。
お子様の成績向上や志望校合格に向けて、ぜひ一度当塾までご相談ください。経験豊富な講師陣が、学校の評価基準に合わせたオーダーメイドの学習プランをご提案いたします。
※本記事の内容は2025年4月現在の情報に基づいています。学校の評価基準は変更される可能性がありますので、最新情報については各学校の案内をご確認ください。
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