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AI時代、ググれば出る時代での勉強法と注意点

  • 執筆者の写真: 自分塾 室長 北岸
    自分塾 室長 北岸
  • 14 分前
  • 読了時間: 5分

今やスマートフォンやパソコンで、わからないことはすぐに「ググれる」時代になりました。最近は「ChatGPT」「Gemini」などAIにも何でも質問できるようになりました。素晴らしい時代で、私自身もこれらを活用する日々を過ごしています。

しかし便利になった一方で、「調べればいいから覚えなくてもいいや」と思ってしまうことはありませんか?私はショウブとアヤメの違いを調べては、また調べ直すという行為を3年繰り返したことがあります。


実はこの「記憶を外部に任せる」習慣は、学習の質にマイナスの影響を与えることが、さまざまな研究でわかってきました。今回は、現代ならではの「Google効果(グーグル効果)」について解説し、それを踏まえた上で、より良い学び方についてご提案します。


Google効果とは?――「調べればいい」が記憶力を弱くする

Google効果とは、必要な情報をすぐに検索できる環境に慣れることで、「情報そのもの」ではなく「どこで調べればよいか」だけを覚えてしまい、知識が自分の中に残りにくくなる現象です。


たとえば、歴史の年号や英単語を「どうせまた調べればいい」と思ってしまうと、テストや実生活で必要なときに知識が出てこない、ということが起こります。さらに、「自分で考える力」や「情報の正しさを見極める力」も育ちにくくなると言われています。


どうすれば「記憶力」と「考える力」を鍛えられる?

では、AIやGoogleの便利さを活かしつつ、自分の頭でしっかり学ぶにはどうすればよいのでしょうか?具体的な方法をいくつかご紹介します。


1. 調べた内容を「自分の言葉」でまとめる

検索やAIで得た情報を、そのまま終わりにせず、自分なりにノートにまとめたり、友達や家族に説明してみましょう。自分の言葉でアウトプットすることで、知識がしっかり記憶に残ります。「アウトプットを大事にする」これは学習の大原則です。調べて知るだけは「インプット」にあたるものなので、それだけにとどめず、自分の頭の中から思い出してアウトプットするようにしましょう。一番は「何も見ないで思い出して説明できること」です。アウトプットとインプットに関する勉強法は関連記事をご覧下さい。


2. 「なぜ?」を大切にする

ただ答えを調べるだけでなく、「なぜそうなるのか」「どうしてこの答えになるのか」を自分で考える習慣をつけましょう。理由や背景まで理解することで、知識が深まります。ChatGPTやclaude、geminiにperplexityなど、どのAIに聞くときもまずはある程度自分で答えを予想しつつ、考えながら調べるようにするとよいでしょう。AIが出した答えを別のAIに検証させることもありますが、やはり自分の頭で正しいかどうかを検証するような習慣をつけることも大事になってきました。

定期テストにおいても、学習の3観点「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つが評価の基準になってからは、記述型で理由や背景を問う問題が増えてきているように感じます。「なぜ?」と考える習慣をつけることは定期テスト対策においても重要性を増してきています。


3. 紙の教科書や参考書、辞書も活用する

たまにはアナログな方法で調べてみるのもおすすめです。紙の教科書や参考書、辞書を使うことで、調べる過程が記憶に残りやすくなります。実際に複数の研究で、紙媒体で読んだ情報の方が、デジタル媒体で読んだ情報よりも記憶の定着率が高い、あるいはより深く理解できるといった傾向が示されています。背景の一つとしては、物理的な感覚と空間的情報が関係していると言われています。「あのページの右下あたりにあったやつ…あのザビエルのページ」などと場所的な記憶が情報のフックとして覚えやすくなるといった現象は自分にも心当たりがあります。


富山大学の研究(2024年): コロナ禍での大学生を対象にした調査で、深い学び(ディープラーニング)には紙での学習が好ましい可能性を示唆しています。デジタル媒体は覚えにくさや集中力の低下に関連する可能性が考えられました。

東京大学とNTTデータ経営研究所の共同研究(2021年): スマートフォンなどの電子機器でメモを取るよりも、紙の手帳に書いた方が、記憶の定着や想起に関わる脳活動が高まることを報告しています。特に、解答時間が短縮されたり、特定の設問で紙媒体の方が良い成績を示す結果が得られました。


4. 定期的に復習する

一度調べて覚えたことも、時間が経つと忘れてしまいます。繰り返し復習することで、知識が長期記憶として定着します。学習塾という仕事の場合、複数の生徒に同じことを教えます。また、一年おきに周期的に教えることからも教務内容はかなり強い記憶を持っていると感じます。対して、それ以外のことに関してはかなり意識して復習したり思い出したりしないとやはり忘れやすいと個人的にも感じています。調べようと思ったらすでにgoogleの検索履歴が残っていてサジェストに出てくることもしばしばあるので、覚えたいものに関してはかなり意識的にしないと記憶するのは難しいことを痛感します。


5. 「覚えていないとできない」状況を作る

友達とクイズを出し合ったり、家族に説明したり、問題を自分で作ってみたりするのも効果的です。「覚えていないと困る」状況を意識的に作ることで、脳が記憶の重要性を認識しやすくなります。田中角栄や北原白秋、南方熊楠など昔の偉人は「辞書の覚えたページを食べた」という逸話があるそうですが、話半分に聞くとしてもこうした覚悟のようなものがもしかするとプラスに影響していたのかもしれません。そしてその逆の効果、覚えていなくてもいつでもすぐに調べられるという状況がもたらす甘さがマイナスに働いて、Google効果をもたらすのかもしれません。


おわりに

AIやGoogleはとても便利なツールですが、使い方次第で学びの質が大きく変わります。「調べればいいや」と思うだけでなく、「自分の頭で考えて、しっかり覚える」ことも大切にしましょう。当塾では、こうした時代に合った学び方もサポートしています。ぜひ一緒に、これからの時代に必要な「考える力」「記憶する力」を身につけていきましょう!

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